概 要
従来の建物の外壁調査は、現場に調査対象となる建物の紙図面を持ち込み、そこに調査した劣化情報等をその紙図面に直接手書きで記録するというのが一般的であった。最終的に、その手書きの情報を基にPCにデータ入力を行った上で成果物となる調査報告書をアウトプットする。
有限会社スギテック(以下同社)が独自開発した「SINQA(NETIS登録済 KT-170036-A)」システムは、iPad(Apple社)アプリに入れた図面に調査情報を入力することで、報告書の作成までを自動化する。調査情報の手書きとその後のデータ入力の手間を省き、調査業務から報告書の作成までを効率化できるものとなっている。
建築物外壁調査の現状
建築物の外壁調査を行う際、持ち込んだ紙図面に直接劣化情報を書き込むアナログな手法が、いまだに多くの現場で行われている。この調査方法の問題点は大きく分けて以下の3点だ。
- 手書きによる個人差
手書きする際の劣化情報のまとめ方は人により様々だ。また、まとめ方を統一していたとしても記入する文字などには個人差があり、第三者がそれを判別するのに苦労する場合がある。 - 作業時に持つ必要のある道具が多くなる
従来の調査方法の場合、調査時に図面や記録用のデジタルカメラ、筆記用具など持つべき道具が多くなる。高所での作業の場合、それらの落下の危険性も増す。 - 膨大な情報をPCに入力しなければならない
図面に記録された情報は時には膨大なものとなる。それらをPCで再度入力する作業コストが掛かる上に、記録の読み間違いや数値の入力ミス等のヒューマンエラーも発生する可能性がある。
調査を行う作業者が調査内容を手書きで行うという時点で、そのデータの正確性には難が出てしまうのは明らかだ。それを「再度確認しながらPCに入力するという手順は2度手間であり、ヒューマンエラーの可能性をさらに高める行為になっている」と、開発を主導した同社の杉山氏は語る。
間違った情報で報告書が作成されてしまえば、最悪の場合その後の改修工事にも影響が出る。
調査報告書作成システムSINQA(シンカ)について
そこで開発されたのが同社が独自開発したSINQA(シンカ)だ。iPadのアプリでもあるこのシステムは、現場で調査した劣化情報をそのままアプリの図面上で入力できる。
劣化箇所を記録する写真もiPadのカメラで撮影することで、簡単に劣化箇所と紐付けができるようになっている。紙図面や筆記用具、デジタルカメラの携行は不要だ。
調査後は持ち帰ったiPadをPCに接続するだけで報告書の出力ができるようになっている。尚、接続するPC側にはAutodesk社のAutoCADが使用され、AutoCADのプラグインとして作られたSINQAがインストールされている必要がある。
安全かつ圧倒的な効率化
SINQAを活用することで、アプリに保存された調査情報がそのまま報告書となる。入力の手間や入力ミス自体が無くなり、かつ正確な報告書が提供可能だ。
そして以後の調査・補修の際には、デジタルデータとして保存されることから、過去にその建物でどんな不具合があり、どこを補修したのか?というような情報履歴にも瞬時にアクセスできる。これは従来の紙ベース作業ではできない利点でもある。
また、調査時の持ち物が少ないことにより安全な作業ができることもメリットとしてあげられる。
SINQAの今後
同社では今後の展開として、これまでSINQAを活用し蓄積されてきた知見やアプリ自体の使い勝手の部分も含め、システムを大幅にバージョンアップするための開発が進められている。
新バージョンではiPad端末以外にAndroid端末にも対応を拡大。またシステムをクラウド化しブラウザ上で動作できる環境にすることで、タブレットやアプリに依存しない環境を構築する見込みだ。
SINQAのご利用について
SINQAシステムのご利用、またはご質問等に関しては以下よりお問い合わせください。
□有限会社スギテック
住所:〒141-0022 東京都品川区東五反田1-10-7 アイオス五反田ビル514号
TEL:03-6277-2740 FAX:03-6277-2745
担当:杉山